病歴のとりかた
循環器疾患
高階 經和
1,2
1神戸大学医学部
2淀川キリスト教病院循環器科
pp.1445-1448
発行日 1968年12月10日
Published Date 1968/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202479
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症例
29歳の男子で,地下鉄の運転手として数年勤務していた患者が,最近,眩暈がひどくなり,ときどき,重いものを持ったりすると,体中の力がぬけるようになってきた.そして,来院する3日まえ,運転中,意識がもうろうとなり,停車すべき駅に止まらずに,ふと気がついた時は,次の駅との中間であった.そのため,次の駅ですぐに降り次の運転手と交代させられ,会社の診療所で診察を受けたところ,血圧が180/50mmHgであり,高血圧と診断され,1週間の安静と,専門医によって精密検査の必要があるという理由で,本院を訪れた.
病歴 現在までの病歴を詳しく聞いてみると,小学校3年生のときにひどい扁桃腺炎を経過したが,関節が痛んだり,全身に発赤が出たりしたことは一度もなかった.ただ,その後自転車で友だちと遠乗りすると,他の子どもに比べて,いちばん早く疲れてしまって,途中でやめてしまうことがしばしばあった.その後学校の定期検診でも別に異常があるといわれなかったが,地下鉄の運転手として勤めだしてから,ちょっとしたことにも非常に神経質となり,動悸がはげしくなる.ときには一瞬間,胸部がナイフで刺すように痛くなったり,眩暈を起こしたりするようになり,この2,3年とくに症状がひどくなってきたが,ちょっと休むとすぐによくなるので勤務を休むようなことはなかった.
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