症例 全身性疾患と骨・6
癌の骨転移
今村 幸雄
1
,
千葉 省三
1
1東大中尾内科
pp.768-772
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202266
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従来,乳がんおよび前立腺がんの患者に骨転移が非常に高率に認められることが報告されているが,この2つのがん腫を含めて,日常一般にみるがん全体を統計的にみた場合にも,その転移率は腹部リンパ節・肝・肺・肋膜への転移についでかなり高率にみられることが示されている(Abramsら27.2%,橋本35.4%).われわれが1951年から1965年までの15年間に東大沖中・中尾内科で剖検しえたがん患者285例についてみると,このうち骨転移を示したもの74例26.0%であった.これらがんの骨転移の成績から,広範な骨について注意ぶかく検索すればより高い頻度でみいだされることが予想され,他方臨床的にがんの骨転移像より逆に原発巣が明らかにされた例も経験されている.骨のX線写真が単純撮影で比較的容易に得られることと相まって,この面での十分な検索が望まれる.
通常,臨床的ながんの骨転移の診断は,骨X線像,骨髄穿刺,骨生検によってなされるが,このようにして生前骨転移を診断し,剖検により確認しえた自験2症例を紹介し,そのX線像を中心にがんの骨転移のパターンを述べることにする.
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