第17回医学会総会速報・1 総会から医学の将来を展望する
国民生活の変貌と新しい問題点—衛連メイン・シンポより
松島 松翠
pp.653-654
発行日 1967年5月10日
Published Date 1967/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201773
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産業構造の改変と労働者への影響
衛生関係6分科会連合学会のメイン・シンポジアムが,「日本における国民生活の変貌と健康—その問題点と対策」をテーマに,4月5日南山大学で開かれた。そこで論議された要点をあげてみるとつぎのごとくである。
最近の10年間を見ると,国民生活の変貌はたしかにいちじるしい。その理由を一口でいうならば,高度経済成長政策のもたらした産業構造の改変が,もつとも大きく国民の生産・労働・消費の生活に影響をおよぼしているといつてよいであろう。かかる大資本,大産業優先の政策が,人口の都市集中化をもたらし,都市と農村との格差ををすます増大させているといえる。いや,同じ都市のなかでも,すでに格差がひろがつているのである。このような状況のなかで,労働者,農民,一般市民の間に,いままでにない新しい型の健康障害,健康犠牲が生まれてきた。すなわち,職業病,労働災害,農薬中毒,その他多くの問題である。
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