症例
甲状腺中毒症と皮膚色素沈着
飯田 喜俊
1
,
山根 暁一
1
1淀川キリスト教病院・内科
pp.583-585
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201752
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皮膚に色素の沈着するものにいくつかの疾患がある。その典型的なものとしてはアジソン氏病や血色素沈着症などがあげられよう。しかし甲状腺中毒症においても色素沈着をみることのあることが古くからいわれてきた。ただ一般にその沈着の程度は少なく,著明な色素沈着をきたすことはむしろまれである。しかしまた,このような場合,アジソン氏病と一般症状に似ている点があるので,鑑別診断上,問題になることがあり,さらにこの両疾患が併存した例も多く報告されており,注目されているところである。
われわれは最近,全身に高度の色素沈着を認め,甲状腺機能の亢進を認めたが副腎皮質機能の不全は認められなかつた例に,甲状腺機能亢進に対する治療のみによつて甲状腺機能の回復とともに皮膚の色素沈着もいちじるしく改善した例を経験しており,これについて述べるとともにその臨床的意義について考えたいと思う。
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