私の意見
ゆりかごから墓場まで1冊のカルテを
児玉 武伊知
1
1三重県立大付属塩浜病院小児科
pp.1445
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201511
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注射の嫌いな医師
だいたい子どもに注射を多用する医師と注射を歓迎しない医師とがある。私としては注射をあまりやらない(採血はのぞいて)医師のほうが技倆は一般にすぐれていると考えたい。私も診断あるいは予後の診たてについて自信の乏しかつたころには注射を多用した思い出がある。また注射の嫌いな医師にも,一つは小児におよぼす注射の弊害について認識されている方と,もう一方は子どもが可愛いそうだからとか,あるいは子どもに泣かれるとうるさいからというタイプの先生もいられる。いずれにせよ,子どもにはなるべく注射をされない開業医が一般に繁盛しているように思うがどうであろうか。乳児でも注射をやらない医師には,診察時に十分協力してくれることを日ごろより感心している。現状では泣き声で騒々しい小児科の診察室を内科のように静かな状態に近づけてゆくのもわれわれの努力次第ではなかろうか。
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