特別寄稿
いのちの尊さ「こうのとりのゆりかご」への取り組みについて
蓮田 太二
1
1医療法人聖粒会慈恵病院
pp.422-428
発行日 2007年5月25日
Published Date 2007/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101007
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設置に至った経緯
2006(平成18)年を代表する漢字には,“命”という字が選ばれました。昨年は年初から児童のいじめや自殺,それにまつわる校長の自殺,さらには親による子殺し,子による親殺し,兄弟の殺害事件など,耳を塞ぎ,目を覆いたくなるような悲惨な事件が相次いで報道されました。どれをとっても人の心に深い痛みと悲しみをもたらし,「なぜ」という疑問を大きく投げかけずにはいられません。私たちの身近なところでも,18歳の無職の少女が産み落としたばかりの女児を殺して庭に埋めるという事件や,21歳の専門学校生が汲み取り式トイレで女児を産み落とし窒息死させ,6年の実刑判決を受ける,といった痛ましい事件が発生しました。
神さまから授かった尊い生命を,何とかして助けることができなかったのか? 母親もまた,救うことができたのではなかったか? という悔しい思いが,2年前から構想をあたためてきた「こうのとりのゆりかご」設置への決断につながりました。
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