グラフ カラーグラフ解説
異型リンパ球
日野 志郎
1
1東京逓信病院内科
pp.1340-1342
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201482
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
異型リンパ球の実例
1907年すでにTurk10)はatypische Lymphozytenの名をつかつている。日本語では不定型リンパ球,異形リンパ球1),変形リンパ球6),などともいわれているが,typical(典型的)に対するものとして異型リンパ球とよんでおこう。どのような細胞をそれとするかについては意見の一致をみないが,まず本号のグラフ欄の写真をながめていただきたい。すべて末梢血にみられた細胞で,同一の拡大になつている。
図1〜6は,原因不明の微熱と血沈促進のあつた55歳の男から得られた。1の好中球を大きさの標準にしてほしい。その下にある細胞は明らかにリンパ球だが,細胞質の広さと斑紋状の強い塩基好性は正常でない。2の細胞も同様で,これにはリンパ球特有のアズール顆粒がみられる。3〜5は核形不正で単球様ではあるが,細胞質の色や構造は前の異型リンパ球に似ている。4の核構造はリンパ球様だが,3と5のは少し違う。6は単球としていいだろうが,その核構造とも差がある。3の細胞には多数の小空胞,4には少数の大空胞が細胞質中に散在する。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.