話題
第35回日本内科学会信越地方会感想記
古田 精市
1
1信州大・内科
pp.615
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200800
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信州大学小田正幸教授主催のもとに11月15日に行なわれた本会は,前夜までの雨がすっかりあがり,晴天に恵まれた。初冬の肌寒い信州の気候にもかかわらず,早朝8時半よりすでに多数の会員が集まり,午後4時やや過ぎまで,41題の興味ある症例報告あるいは研究発表があり,なごやかな中にも活溌な討論が行なわれた。
特別講演は千葉大学三輪内科の白壁彦夫講師による"胃X線診断に関する最近の諸問題"についてで,寸刻を惜しむごとくにエネルギッシュな講演が行なわれた。わが国においては日常の臨床上最も多いと言ってよい胃腸疾患の診断法についてはわれわれ会員としても切実な,それ故にまた興味ある問題であって,氏は胃集団検診などによって集められた多数の症例にもとづいて得意とする二重造影法,圧迫法を中心に,さらに充盈法の長所を入れて,細かな所見の意味づけについても長年の手術例との対比にもとづいて実に見事にわれわれ会員に示してくれた。まずX線上に現われる粘膜の太さについては,時に粘膜襞の頭と頭とが接触して,それによって作られた襞が一見胃粘膜襞としてX線上に現われることがある点に注意を与え,このような場合には圧迫によっておのおのの襞の中に十分バリウムをすり込むことが大切である。
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