症例
Simmonds病兼尿崩症の1剖検例—トルコ鞍外発育を示した下垂体色素嫌性細胞腺腫Chromophobe adenoma
谷岡 達男
1
,
山口 洋
1東大・中尾内科
pp.109-115
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200660
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下垂体色素嫌性細胞腺腫によるSimmonds病は,比較的稀な疾患であるが,下垂体腫瘍としての色素嫌性細胞腺腫は下垂体腺腫の約2/3,全頭蓋内腫瘍の約1/5を占め,下垂体機能低下症の原因としては比較的頻度が高い。
われわれは最近,視野障害に始まり,開頭手術で色素嫌性細胞腺腫と診断され,術後10年ごろからしだいに下垂体機能低下の症状を生じ,諸種臨床検査および内分泌検査からSimmonds病兼尿崩症と診断されCortisolによる代償療法(Ersatztherapie,hormone prothese)を行なつたにもかかわらず,諸症状の改善を見ず,下垂体部レ線療法開始後症状悪化し死亡,剖検によりトルコ鞍外に発育せるChromophobe adenomaとともに著明な中枢神経系の血鉄症(Siderosis)の認められた症例を経験した。
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