話題
日本腎臓学会総会から
浦壁 重治
1
1阪大吉田内科
pp.86-87
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200656
- 有料閲覧
- 文献概要
第7回日本腎臓学会は九大勝木司馬之助教授会長のもとに,10月,3,4の両日にわたり福岡市の新築成った明治生命ビルにて開催された。シンポジウム2,パネルディスカッション1,一般演題181題の多数を2日間,2会場で消化したため夜7時より行なわれたパネル以外は,いずれも時間不足がちで討論が十分行なわれなかったのは残念であった。学会の発展に伴って演題が増加するのは不可避的な共通現象であるがこれをどのように運営するかは今後に残された課題であろう。特に本学会は学会分化の法則に逆行し,基礎,臨床の各専門家が腎臓の研究ということで一本化している統一学会であるだけに一層communicationの問題は重要である。その解決策として演題数に対しては制限,淘汰,集約などが考えられるが実施上問題も多く,またかえって学会の発展を阻止する弊害もあって適当とは思われない。また会場をふやす方法は統合とは正反対に分化を助長するので程度問題である。私は一部他学会でも行なわれているように現行の提出抄録類似のものを学会前に配布,論点がいづれにあるか予め理解出来るシステムの実現を望む。かくすれば短時間で十分ディスカッションが消化されるのではないかと思う。現在のごとくほとんど一方通行の発表ではせっかくの学会としての意義がうすれ,紙上発表の域をいくらも出ない結果を招くのではないかと懸念している。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.