治療のポイント
降圧剤の現状と使い分け
守 一雄
1
1横浜市大内科
pp.863-864
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200460
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降圧剤は対症的なものである
本態性高血圧症に用いられる降圧剤はセルペンチーナ剤,自律神経遮断剤,ベンゾチアジアジン剤,抗アルドステロン剤などの有力なものが現われている。しかし本症の真の原因はこんにちなお不明であつて,これらの薬品も原因的治療を行なうものではなく,対症的のものである。すなわちセルペンチーナ剤は中枢神経に作用し末梢血管を拡張し,自律神経遮断剤は交感神経の作用を神経節または末梢で遮断することにより末梢血管拡張をきたし,ベンゾチアジアジン剤はNaを排泄することにより末梢血管の反応性を変化せしめ,抗アルドステロン剤は同じくNaの再吸収を抑制することにより利尿,降圧をきたす。いずれも血圧を下降せしめるものであるが,作用する場所が多少異なる。これらを併用する場合には作用機序の異なるものを組合わせるほうが有効である。降圧作用の強さは自律神経遮断剤,ベンゾチアジアジン剤,抗アルドステロン剤,セルペンチーナ剤の順である。
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