特集 内科診療にガイドラインを生かす
神経・精神疾患
慢性頭痛
竹島 多賀夫
1
1富永病院神経内科・頭痛センター
pp.283-288
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107118
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
わが国の頭痛ガイドラインは,2002年に日本神経学会ガイドライン委員会,頭痛小委員会(委員長:坂井文彦)が作成した慢性頭痛治療ガイドライン1)に始まる.片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛の治療について,国内外のエビデンスにもとづき作成された.エビデンスが不十分な事項は,エキスパートのコンセンサスで補完されている.また,薬物長期乱用に伴う頭痛(薬物乱用頭痛)についても付記として記載されている.2005年には,厚生労働科学研究費補助金・こころの健康科学研究事業(主任研究者:坂井文彦)により,慢性頭痛診療ガイドラインが作成され,これをベースに,2006年,慢性頭痛の診療ガイドライン(日本頭痛学会 編)が刊行された2).頭痛診療の重要な項目が網羅されており(表1),クリニカルクエスチョン(CQ)と,これに対する推奨文,背景・目的,解説・エビデンス,参考文献などが記載されている.このガイドラインが,現在,わが国で,最も広く利用されている.2011年に,日本頭痛学会と日本神経学会を中心に,慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会(委員長:荒木信夫,副委員長:竹島多賀夫)が組織され,日本脳神経外科学会,日本神経治療学会の協力を得て,「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」が発刊された(以下,2013年版は単にガイドラインと記す)3).2006年版を踏襲し,その後の新たなエビデンスや研究成果,頭痛医療の状況変化を取り入れて作成されている.1995年以降に公開された欧米の頭痛に関連したガイドライン4~9)の主要なものを,わが国の頭痛関連ガイドラインとともに一覧として表2に示した.
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