特集 エマージェンシーの予兆を察知する―リスクを評価し危機に備える
扉
野口 善令
1
1名古屋第二赤十字病院総合内科
pp.575
発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106730
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エマージェンシーというと,心肺停止,ショック,急性冠症候群など,いかにも緊急を要する救急・重症疾患の病名が頭に浮かぶ.これまでの本誌のエマージェンシー特集はこれらの緊急事態が起こってしまってからの対応に重点が置かれてきた.
確かにエマージェンシーへの対処を心得ておくことは重要であるが,緊急事態が起こってしまってから慌てて対応するのには限界がある.いままで安定していた入院患者が急変した場合など,頭が真っ白になってしまってうまく対応できず,後で悔やんだ経験は誰にでもあるだろう.さらに,救急・重症疾患でも,必ずしも重症そうな外見で救急搬送されてくるとは限らず,軽症そうなウォークイン患者や,非典型的な病像患者が診療中に急変することがある.実はこれらの予期しない急変や,最初は軽症そうに見えて進行の速い経過で悪くなるケースが現場ではトラブルの種になりやすい.
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