書評
―小阪憲司 編著―プライマリケア医の認知症診療入門セミナー
山口 登
1
1聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
pp.854
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105971
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わが国では,認知症患者は軽度例を含めると250万人,今後さらに高齢化が進み,2030年には300万人を超えることが予想されており,それに伴い,日常診療において,認知症患者を診察する機会が増加することが推測される.私自身は精神科医師であるため,認知症の中核症状(記憶ならびに認知機能障害)ばかりでなく,周辺症状(精神症状,問題行動など)のために受診する患者を診察することが多いが,何らかの身体疾患を有する中核症状主体の認知症患者を診るのはプライマリケア医が圧倒的に多いと思う.近年,特に生活習慣病と認知症との関連を指摘する報告が増加しており,認知症の専門医ではない多くのプライマリケア医は認知症を有する患者を今後さらに診る機会が増える状況が推測される.
この本は,そんなプライマリケア医の日常診療に役立つように,主要な認知症について,認知症の専門家が具体的に症例を挙げ,診断や治療・対応策についてわかりやすく解説している.認知症を引き起こす原因疾患は数多くあるが,特に重要な四大疾患,すなわちアルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症(認知症を伴うパーキンソン病を含む),血管性認知症,より若年(初老期)に多い前頭側頭型認知症に焦点を当て,さらに,その他の重要な認知症疾患も取り上げ,全22症例について記載されている.
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