連載 研修おたく海を渡る・63
たった一年でも、できること。
白井 敬祐
pp.511
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105089
- 有料閲覧
- 文献概要
第51回で紹介したサービスラインマネジャーのボビーを覚えていらっしゃるでしょうか.患者だけでなく,病院スタッフの満足度を上げることを使命にやってきた,がんセンター立ち上げのプロの話です.彼女が就任してから,起こった変化を振り返ってみたいと思います.
待ち時間を減らすために,実際に時間を測定し,どこがボトルネックになっているかを探し出し,人を補充する場所を決め,実際に予算をつけて採用実績を作りました.紹介から初診,その後の受診をスムーズにするがん部位に応じたコーディネーターの数は2倍になり,さらにその下で働く患者ナビゲーターというポストもできました.抗がん剤治療室での患者の副作用や不安に速やかに対応するために,治療室をフリーでラウンドする臨床心理士や,ナースプラクティショナーを採用したのも彼女です.この作戦は,患者の満足度だけでなく,医師,看護師といった診療スタッフの満足度も上げました.抗がん剤の処方テンプレートはできるまでが大変でしたが,結果として,医師,薬剤師の満足度は上がりました.土日に病棟で,通院点滴に対応できる仕組みを作ったり,看護師を教育するために,ナースエデュケーターというポストもつくりました.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.