徹底分析シリーズ 酸塩基平衡異常
呼吸性アシドーシス:あちらを立てたらこちらもたった!?
大西 尚
1
Hisashi OHNISHI
1
1明石医療センター 呼吸器内科
pp.1148-1153
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100815
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実地臨床において,呼吸性アシドーシスとして問題となるのは,意識障害や呼吸筋麻痺による肺胞低換気や慢性呼吸不全急性増悪であろう。その際に最も大事なのはデータではなく,患者の疾患背景,呼吸数や呼吸パターン,意識レベルなどの全身症状であろうと思われる。また,データのなかでもPaCO2値が注目されすぎているが,特に慢性呼吸不全であれば代謝性代償機転が働くため,その結果としてのpH値を重視したいと考える。むしろ,PaCO2の上昇よりもPaO2の低下が生命の危険と強く関連しており,呼吸不全時の酸素投与の重要性を強調したい。呼吸性アシドーシスの治療としては,基本的には人工呼吸管理となる。それに関連して肺保護換気やpermissive hypercapniaについて簡単にふれ,慢性呼吸性アシドーシスでは非侵襲的陽圧呼吸療法(NPPV)などの人工呼吸管理の実際を中心にガイドラインに沿いながら私見を交えて考察する。
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