今月の主題 これ血液悪性疾患?自分の守備範囲?―非専門医のための見分け方
コラム
血液研究の魅力
三谷 絹子
1
1獨協医科大学内科学(血液・腫瘍)
pp.2194-2195
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104946
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発症原因の解明により,巧妙な生命の仕組みに触れる
医師を志した人で,生命現象に興味のない人はいないであろう.病気は正常な生命現象の裏返しである.疾患の発症原因を解明することは,破綻した生命現象を理解することであり,そのことによって,あまりに巧妙に創造された生命の仕組みに触れることができる.これは,基礎研究者には与えられていない臨床家の特権である.がん研究,特に血液腫瘍の研究において,多くの場合にみえてくるのは(細胞の集合体である臓器の機能の異常ではなく)一つひとつの細胞が営む増殖・分化などの制御の異常である.すなわち,細胞レベルでの制御がはずれた生命現象である.これを本格的に研究するには,分子生物学,細胞生物学,発生工学の基礎が必要であり,得られる喜びも大きいが,そう簡単なことではない.
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