今月の主題 酸塩基・電解質―日常で出くわす異常の診かた
処方で多くみられる電解質異常―症例検討とshort review
薬剤による低ナトリウム血症(SIADH)
大澤 勲
1
,
富野 康日己
1
1順天堂大学医学部腎臓内科
pp.1048-1050
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104494
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症例検討
症例 59歳,男性.
現病歴 生来健康であった.3カ月前の単身赴任を契機に,“ふさぎこみがち”となり,会社への無断欠勤が続いた.メンタルクリニックを受診したところ,「うつ状態」と診断され,パロキセチン(パキシル®)20mg/日の内服治療が開始され,2週間後には30mg/日に増量された.一時的に症状は回復したが,内服開始2週目頃から,徐々に全身倦怠感と食欲低下が出現し,増悪した.4週目の再診時に低ナトリウム(Na)血症129mmol/lを指摘され,精査・加療の目的で入院した.
診察所見 意識清明.神経学的所見に異常を認めない.血圧132/72mmHg,脈拍72回/分・整,口腔内・皮膚の乾燥なし.皮膚ツルゴールの低下は認めない.胸腹部に異常なし.下肢浮腫は認めない.入院時の検査結果を表1に示す.
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