書評
ティアニー先生の診断入門
松村 理司
1
1洛和会音羽病院
pp.668
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103884
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ローレンス・ティアニー先生の鑑別診断力のすごさが披瀝されている本書が,好調な売れ行きであると先生自身の口から聞く機会が最近あった.誠に慶賀にたえない.新医師臨床研修制度が開始されて5年近くになるが,研修現場で今も足りないものの一つに「臨床推論・診断推論の訓練」が挙げられる.初期研修医の学習対象が検査や治療手技になりやすく,病歴と身体所見から病気や病態の検査前確率を推定してゆく診断学が,なかなか王道に位置されないのである.
ティアニー先生の真骨頂は,病歴のみに基づく診断と最終診断との一致率がことのほか高いことにあると思われる.厖大な臨床経験が頭脳の中に質高くまとめられているからであろう.その後に身体所見を加えて検査前確率を上下させるわけだが,先生にとって身体診察の寄与率はあまり高くはなさそうである.しかし,本書の5頁の文言に接すると,そうとばかりもいえないことがわかる.
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