今月の主題 末梢血検査異常 何を考え,どう対応するか
Editorial
血液疾患の診かた
奈良 信雄
1
1東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センター
pp.2126-2127
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103625
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血液疾患を診療するにあたっては,ほかの内科系疾患と同じで,まず医療面接によって患者の訴える症状を確認し,次いで身体診察を行って身体所見を把握する.そして,末梢血液検査を主とした基本検査を行う.この過程だけで大半の血液疾患は診断がつく.貧血にしても白血病にしても,また紫斑病も,これらの診察法によって診断を下すことができる.
血液疾患による症候として最も重要なものは,貧血に伴う症候,顆粒球減少によって発症する感染症の症候,出血あるいは血栓症に伴う症候,そしてリンパ節腫脹である.特に出血傾向や高熱は適切な処置を早期に開始しなければ致命的になる可能性があり,これらの症候から血液疾患が疑われる場合には,速やかに診断し,治療を開始するか,専門医に紹介する必要がある.
診断を確定し,さらに病型を細分類するためには,骨髄検査や染色体・遺伝子検査などの精密検査が要求される.これらの精密検査も,ほとんどは一般の医院,病院でも可能であるが,適切な検査項目を選択し,検査結果を詳細に解釈し,さらに各病型ごとに適した高度の治療を行うとなれば,血液内科専門医に委ねたほうが望ましいことが多い.
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