今月の主題 浮腫をどう診るか
診断に迷う病態・頭のすみに置きたい疾患
POEMS症候群(Crow-深瀬症候群)
菅 憲広
1
,
今井 裕一
1
1愛知医科大学腎臓・膠原病内科
pp.2042-2043
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103604
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POEMS症候群は,多発神経炎を必発とし,浮腫・胸腹水,皮膚症状(剛毛,色素沈着,血管腫),M蛋白血症,骨硬化病変などを呈する全身性疾患である.その根底にはplasma cell dyscrasiaが存在する.1968年の最初の報告以降,1984年までに102例が報告され,わが国ではCrow-深瀬症候群として扱われている.欧米ではその主要症状(polyneuropathy, organomegaly, endocrinopathy, M-protein, skin changes)の頭文字をとってPOEMS症候群と呼ばれている1).
2003年の全国調査では国内患者数は約340名と推定されている.1996年に血中の血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が著明な高値を示すことが明らかになった2).VEGFは強力な血管新生と同時にヒスタミンの約50,000倍の血管透過性亢進作用などの生理的作用を持つことから本症候群の浮腫,臓器腫大,血管腫などの病態と深く関連すると考えられ,新しい診断基準の1項目に入っている(表1)3).
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