書評
在宅酸素療法マニュアル―新しいチーム医療を目指して 第2版
飛田 渉
1
1東北大保健管理センター
pp.1089
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103411
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)は,1985年に保険適応になって20年を過ぎました.わが国における在宅医療のパイオニア的役割を果たしてきたと言っても過言ではありません.この間,HOTは大きな変貌を遂げてきているのも確かです.基礎疾患が大きく変わっているのもその理由の一つです.HOT患者ははじめ,肺結核後遺症が全体の約3割を占めていたのが漸減し,間質性肺炎や肺癌のHOT患者が増加してきております.新たに睡眠呼吸障害を伴う心不全にHOTが適応となりました.一方では,HOT患者の高齢化も起こっております.当初,平均年齢は63歳でした.それが今や70歳を超えています.さらに社会環境の変化に伴い,HOT患者においても例外なく核家族化が進んだだけでなく,独居患者も増加しています.このような背景にあって,HOTの今後のあり方がきわめて重要な課題になっています.
本書の著者,木田厚瑞氏はわが国の呼吸病学の第一人者であり,呼吸器疾患患者のリハビリテーションに関する臨床研究を一貫してなさってきました.特に,呼吸器病の治療にはチーム医療による包括的なアプローチが必要であると,「包括的呼吸リハビリテーション」のプログラムを提唱しました.1995年のことです.これを契機にわが国において,チーム医療による呼吸リハビリテーションが多くの医療施設に導入されるようになりました.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.