今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈消化管〉
胃悪性リンパ腫
宮本 幸夫
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.272
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100980
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胃悪性リンパ腫は,超音波像では一般に胃壁の肥厚像として捉えられる.胃壁の肥厚が全周性に及ぶ場合は,いわゆるpseudo-kidney signとして描出され,巨大皺襞として捉えられることも少なくない.飲水法(図1)や超音波内視鏡などを用いた,胃の層構造をもとにしたより詳細な診断では,胃悪性リンパ腫は,①胃癌と同様の所見を呈するもの,②胃粘膜下腫瘍様の所見を呈するものなど,さまざまである.胃癌の鑑別に際して重要な所見は,肥厚した胃壁の内部エコーが,きわめて均一でかつ低エコーレベルを呈することである.これは,胃癌と異なり,悪性リンパ腫ではdesmoplastic reactionを生じないため,胃壁内の反射源が減少することによるものと考えられ,同様の所見は,悪性リンパ腫のリンパ節と腺癌のリンパ節転移とを比較した場合にも認められる重要な鑑別点である.
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