今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈脾〉
脾腫,副脾,多脾症,無脾症
成尾 孝一郎
1
1富士市立中央病院放射線科
pp.264
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100973
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脾 腫
脾腫の指標として,脾の最大断面像における長径と脾門部よりこれに直行する短径との積をspleen indexとする方法(古賀法)が広く用いられている(図1).これに正常例で0.8,肝疾患例で0.9を乗じた値が断面積に相当するとされ,成人では30cm2以上を脾腫と判定してきた.しかし,これはリニア探触子を用いた基準であり,最近のコンベックス型や,セクタ型プローブを用いた検討では36~38cm2以下が正常範囲とされる.また若年者ではこれより大きな値でも,必ずしも異常とはいえない.脾腫をきたす疾患は,感染(敗血症,伝染性単核球症,マラリアなど),うっ血(肝硬変,特発性門脈圧亢進症),溶血性貧血,腫瘍浸潤(悪性リンパ腫,白血病),物質沈着(Gaucher病など),膠原病などの多彩な疾患が挙げられる.悪性リンパ腫や白血病はびまん性に浸潤した場合,超音波所見は脾腫のみを呈し,腫瘤を形成しないこともある.
副 脾
正常人の約10%にみられる.胎生期の背側胃間膜内の脾臓原器の癒合不全により生ずる.脾門部に好発する.径は数mmから2cm大の円形腫瘤で,脾臓と等エコーを呈する(図2).90%は単発性である.
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