報告
学校の管理下における自転車事故—死亡・後遺障害例からの検討
市川 政雄
1
,
丸井 英二
2
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
2順天堂大学医学部公衆衛生学教室
pp.778-782
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902607
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交通事故による死亡は学校の管理下における死亡のなかで最も多く,特に自転車乗用中に多発している.平成6〜8年度の3年間においては,登下校中の自転車事故による死亡は交通事故死全体の約4割を占め,後遺障害については9割以上を占めていた1〜3).このことは学校の管理下における交通事故対策のなかでも,特に自転車事故への取り組みの必要性を示唆するものである.
交通事故総合分析センターによると,交通事故死傷者全体に占める自転車事故の割合は近年増加しつつある4,5).自転車事故による死傷者数の多い年齢階級は,高齢者とならび児童生徒に相当する年齢層が指摘されている4,5).この年齢層は「交通弱者」として考えられ,交通安全施策のなかで特に配慮されるべき集団である6).このことから,交通安全の強化を学校教育のなかで推進していくことの意義は大きく,全国的にも交通安全運動における自転車事故対策の重要性が増してきている.
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