シンポジウム 第17期日本学術会議環境保健学研連主催公開シンポジウム
都市医学のストラテジー・5
都市生活がもたらす疾病に対する戦略
圓藤 吟史
1
,
林 朝茂
1
,
津村 圭
2
,
岡田 邦夫
3
1大阪市立大学大学院医学研究科産業医学分野
2大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学分野
3大阪ガス健康管理センター
pp.75-77
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902443
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
わが国の平均寿命は,男77.19歳,女83.82歳(1997年)と延び,世界の最長寿国になった.1947年のそれが男50.06歳,女53.96歳であるから,平均寿命がたった50年で27ないし30歳も延びたのは有史以来例がなく,今後も起こりえないだろう.これには周産期,産褥期での死亡や,肺炎,結核などの感染症での死亡が減少したことが大きい.また,医学医療の進歩,あるいは医療施設,病床整備に主眼をおいた医療供給体制の充実,さらに1961年に始まった国民皆保険とその拡充に負うところが大きいと思われる.
20世紀後半は感染症に変わって,脳血管疾患,悪性新生物,心臓病といった慢性疾患が死因の上位を占めるようになった時代であり,現在では死因の6割以上を占めている.これら慢性疾患は中高年者に多く発生することから成人病と捉え対策がとられてきたが,生活習慣がこれらの疾患の発症に関係することが明らかになるにつれ糖尿病を含め「生活習慣病」と位置づけられ,その発生要因である生活習慣に焦点をあてた発症予防対策が必要になってきた.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.