特集 都市化のなかの保健活動
都市生活とコミュニティー
園田 恭一
1
1東大・保健社会学
pp.262-268
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203714
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コミュニティー概念の再検討
"都市生活とコミュニティー"という問題にはいるまえに,まずコミュニティーという概念や用語について一応の検討をしておくことにしよう。というのは,コミュニティーという概念が多義的かつ不明確であり,また使用法も極めて混乱していることについては,外国の研究者によっても多く指摘されているからであり,しかもわが国のばあいには,これがその共同体・共同社会・地域社会等々の翻訳用語の不統一ということとも結びついて,さらにいっそうの混乱をひきおこしているからである。
ところで,コミュニティーというコトバの多義性・不明確さの一因は,それが日常用語としてしばしば用いられることにより,多くの"世俗的観念"を含んでいるためであることは,すでに高田保馬などによって指摘されているところであるが,ここではこれらの日常的用法を一応除外して,コミュニティーそのものの本質なり規定なりを科学的に問題としているものということに限定すると,あいまいだ,多義的だといわれてきたコミュニティーという概念も,地域性と共同性という2つの要素を含んでいるということについては,多くの意見が一致をみているといえよう。
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