視点
公衆衛生の温故知新—21世紀に向けての地域保健
田上 豊資
1
1高知県健康福祉部健康政策課
pp.146-147
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902250
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構造改革と温故知新
21世紀を目前にして,介護保険制度,医療保険制度改革,社会福祉の構造改革,年金制度改革など,戦後半世紀に構築されたわが国の社会保障制度が,歴史的な大転換期を迎えている.その背景には様々な社会環境の変化があるが,最も大きな要因は少子高齢化に伴う社会保障負担の増大であろう.
正直いって地域保健は今混迷期にある.巨大な構造改革の渦に巻き込まれ翻弄されている小船のようにさえ見える.一方,逆転発想をすれば,このような構造的な転換期にあるからこそ,公衆衛生にしかできない本来の役割,新たな役割が見えてくるのかもしれない.最近,ヘルスプロモーションや健康危機管理といった言葉に公衆衛生従事者の注目が集まっているが,いずれも原点は「公衆衛生」である.歴史的な構造転換期にあり,混迷期にあるからこそ,「温故知新」をキーワードに今一度足元を見つめ直すべきではないだろうか.
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