特集 公衆衛生におけるリスクの管理
京都府健康危機管理マニュアル
植村 憲一
1
1京都府保健福祉部生活衛生課
pp.101-104
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902239
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背景
平成8年7月,堺市で予想を上回る大規模な食中毒事件が発生した.保健所での対応は,積極的疫学調査を進めるうちに,給食を介していること,それまであまり知られていなかった病原性大腸菌の一つ,腸管出血性大腸菌O 157であること,貝割れ大根の種子に問題があると示唆されたことが判明した.
一方,平成10年7月,和歌山市某地区の自治会主催の夏祭りでカレーを食べた住民の多くが,嘔吐とともに倒れた.カレー喫食後,症状出現までの時間が短いという疑問もあったが,だれもが食中毒菌が産生する毒による食中毒をまず疑った.飲食後の多人数の嘔吐症状イコール細菌性食中毒という先入観が,初動対応を大きく遅らせた要因の一つでもあった.
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