特集 胃癌の公衆衛生対策
活動状況
地域の胃癌対策
胃集団検診の体制と問題点
京都府の胃癌対策の現状
井田 和徳
1
,
角谷 仁
1
,
川井 啓市
1
,
高田 洋
1
,
増田 正典
1
1京都府立医科大学増田内科
pp.97-100
発行日 1967年2月15日
Published Date 1967/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203413
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はじめに
近年成人病による死亡率の増加からその対策の必要性が強調されているが,なかでも胃癌対策はその最重点策として大きくクローズアップされてきている。京都府でも悪性新生物による死亡率は人口10万対124.4(38年調査1))で,昭和28年から死因順位の第2位になり,このうち胃癌の死亡率は53.0と最も高い。性別でも男64.4,女42.1といずれもきわめて高い。またその年次推移をみても,昭和25年男50.9,女31.0から36年にはそれぞれ68.7,41.4と漸増の傾向がみられ強力な刻策が望まれていた。
よく知られているように胃癌は現代医学をもってしても,早期発見・早期手術以外には根治治癒は望めないものであり,特異な症状がないままに進行するため受診時にすでに根治不能な進行癌であることが多い。そこで医療機関受診の健康人として日常生活を送っている一般の人々を対象に,胃癌の早期発見を目的にした胃部集団検診(以下胃集検と略す)が試みられるようになった。そのスクリーニング・フィルターとしては,問診,各種の癌反応,生化学的検査法も検討されているが,いまだにいずれも信頼性に乏しい2)。現在では間接X線検査を応用した検診方法がその主軸となって,各方面で多くの成果がみられている。
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