特集 地域保健の財政基盤
明日の地域保健と財政基盤
櫃本 真一
1
1愛媛県保健福祉部健康増進課
pp.308-312
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902073
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
テレビから,「W市のある福祉団体が,行政に長年支援を要望してきたところ,行政がようやく重い腰を上げてその団体の集会に参加した」とのニュースが目に入ってきた.「重い腰」はしばしばマスコミが行政に使う言葉だなあと苦笑していたが,その後のW市福祉課長のコメントには考えさせられるものがあった.「団体の活動の意義や熱意は理解できたが,行政のルールからいって一つの団体だけを支援するわけにはいかない.現状を調査して,このような障害者の方に,行政としてどうかかわるべきか検討したい」マスコミが適当に切り取った恐れはあるが,おおむね以上のような内容だったと思う.一見優等生のそつのない回答に思えるが,まるで国の答弁のようで冷たい感じがしたのは私だけだろうか.国のやり方を真似てきた地方行政の限界をそろそろ痛感しなければ….行政のルールなど行政の立場を正当化し住民に押し付けようとしていること,現状が把握できていないことへの反省がないこと,「逃げ」の姿勢として視聴者(市民)から見られること,など,日ごろ公務員が陥りやすい過ちを再認識させてくれた.これまでの行政の指導的・管理的かかわりを是正しながら,地域づくり・健康づくりのために住民の自主的な活動をどう支援していくかを念頭に,財政配分についても,国とは違う,住民主役の「金の使い道」について,身近な事例を通じて,常日頃から考える姿勢が必要だ.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.