特集 環境保健のトピックス
人間地球圏の存続を求める東京大学(日本)—MIT(米国)—ETH(スイス)3大学国際学術協力について
松尾 友矩
1
1東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻
pp.492-494
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901917
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環境という用語は,いまや現代の社会的関心を代表するキーワードの一つとなった観がある.環境問題のかかわる範囲は実に広い.例えば,①空間的には地上からはるか遠い成層圏のオゾン層の問題から,日々の人々の生活から排出されるごみの分類の仕方,集め方の問題まで,②時間的には産業革命以後の近代文明の発展の過程を振り返ることから,何世代も後の未来の社会のあり方の問題まで,③影響の現れ方では,直接的な人間の健康への影響から複雑な生態系全体への影響の評価にかかわる問題まで,④技術的な側面では,現代の文明社会を支える技術分野におけるエネルギー利用の効率化,環境負荷の削減の究極的な実現のための技術開発,⑤方法論の面では科学技術的な側面から,倫理を含む人文,社会科学的な側面まで,というように,その内容,テーマ,手法,目的,評価は実に多様な側面を持つものが現代の環境問題である.
このように,21世紀を目前に控えた現代において,地球上における人間活動を総括的に持続させるために地球環境を保全していくことが,地球に依存してその活動を続けざるを得ない人類にとっての共通の課題であるといえる.ある意味ではこの課題は,地球上に生活する人類が造り出す人間社会にとって,すべての主体が共同して,国際的にも連帯して,取り組んでいくことが求められている課題である.このとき,現代の若者を教育し,地球社会の持続的発展にとって必要な基礎科学の研究に責任を持つべき大学の役割は大きなものであるといえる.
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