特集 環境保健のトピックス
緊急時の中毒対策
椎葉 茂樹
1
1環境庁環境保健部環境安全課
pp.482-484
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901915
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近年,化学物質による環境汚染やそれに伴う健康影響や生態系の影響への社会的関心が高まっている.特にごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類による母乳や土壌汚染問題,および人や野生生物の種の存続に影響を及ぼすおそれのある内分泌撹乱化学物質(endocrine disruptors)問題などマスコミでは連日のように報道されている.これらは,複数の化学物質による低濃度汚染に起因する健康や生態系への影響の問題が中心であるが,危険有害物質を生産,使用,貯蔵している化学工場などの施設から火災,爆発など突然の事故により有害物質が大量に流出し,地域住民や一般環境に影響を及ぼすことも想定されている.このような災害時の対策といった問題も化学物質のリスクの一つであり環境政策上の一つの課題である.
環境庁においては,今後の環境保健のあり方について検討を行い,平成8年6月に「21世紀における環境保健のあり方に関する懇談会報告書」をとりまとめている.この中で,環境リスクへの対応の必要性を指摘し,特に対応が急務と考えられる化学物質の環境リスク対策についてその考え方および内容を明らかにするとともに,そのために今後取り組むべき施策を提言している(表1).
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