特集 女性の健康づくり
家族と女性の健康
杉下 知子
1
1東京大学医学部家族看護学
pp.698-702
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901565
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急激な少子・高齢化が加速するわが国では豊かな社会の実現に向けて,平成6年3月に厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会が「21世紀福祉ビジョン少子・高齢社会に向けて1)」を発表した.すなわち,①豊かで楽しい老後のくらし,②一人一人の健康を守る保健医療サービスの充実,③いつでもどこでも受けられる介護サービス,④安心して子どもを産み育てられる環境づくり,社会的支援体制の整備,⑤高齢者・障害者・子どもたちがともに安心して暮らすことができるゆとりとふれ合いの住宅・まちづくり,を主要な取り組みの方針としている.これらをささえる応分の社会保障負担のあり方についても提言し,このビジョンが実現できる見通しであった.
ところが,平成7年度の出生数が5万人も大幅減少したこと,バブル崩壊以降の景気の低迷が続き社会保障費の運用悪化などによる年金財政の悪化,国民総医療費の上昇,介護保険導入の遅れ,などは福祉ビジョンの見直し作業が必要であるとの課題を提起している.
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