特集 女性の健康づくり
働く女性の健康問題
新発田 杏子
1
1産業医科大学産業保健学部
pp.695-697
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901564
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日本は少子・高齢社会となり,女性や高齢者の社会進出によって労働力を補うことが不可欠となっている.しかしながら,実際の女性の雇用の受け入れは必ずしもその方向に進行しているとは限らない.女性の社会進出に対する意識についても,“女性は職業をもたないほうがよい”1,2)と考えている人,または,“結婚あるいは出産までは職業をもつほうがよい”2)と,いわゆる職業は人生の一時的なステップと考えている人がいて,終生の職業人と考えていない人がかなりいることも事実である.統計的にも女子の有職化はあまり進んでいるとはいえない3).一方,実際に働く女性にとっては,男女雇用機会均等法施行後,その趣旨に沿った雇用管理の改善がなされるなど法の趣旨は徐々に浸透しており,女性の労働力も重要な経済資源として確実に定着しつつある.そこで,働く女性の健康問題は,単に女性の問題とはいえなくなってきている.そこで働く女性の健康を考える前に,まず本邦の女性の職業に対する社会の意識や女性の労働の現状を概括し,その上で働く女性の健康の問題を取り上げ,その解決法があるのか,もしあるとすればどのように解決できるのかを検討することとしたい.
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