特集 歯周疾患の予防—8020運動の達成に向けて
地域における歯周疾患予防事業の組み立て
北原 稔
1
1神奈川県厚木保健所
pp.627-632
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901546
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厚生省は平成4年度からの「歯周疾患予防モデル事業」の成果を踏まえ,平成7年度から老人保健事業における総合健康診査項目の中に,歯周疾患検診を導入した.これに関連して歯周疾患検診の実施方法についてのマニュアルが作成され,歯周疾患検診に広く活用できる内容が示された1).これまで老人保健事業のメニューとして歯の重点健康教育・重点健康相談,そして訪問口腔衛生指導があったが,今回,歯周疾患検診が示されたことで成人・老人を対象とした歯科保健事業を,地域で体系的に展開しやすい状況が整ってきたといえよう.
現在は平成9年の地域保健法本格実施を前に,母子保健事業などの市町村委譲で歯周疾患対策どころでない地域も多い.しかし,すでに老人保健事業などによって成人・老人の歯科保健に,徐々に取り組んでいた保健所や市町村もかなりの数に上る2).したがって,市町村での一貫した母子歯科保健に歯周疾患予防対策を組み込み,地域で生涯を通じた歯科保健,家庭歯科保健への立体的な展開を可能にするチャンスも広がっている.本稿では,保健所で歯周疾患検診を主軸にした成人歯科保健に取り組んできた経験をもとに,地域における歯周疾患予防事業の組み立てについて述べてみたい.
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