特集 生活習慣と健康
性格別にみた生活習慣
今井 一枝
1
1埼玉県立がんセンター研究所疫学部
pp.848-851
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901161
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◆はじめに
がんや心疾患などの成人病は習慣病とも呼ばれ,生活習慣の偏りが発病の大きな原因となっている.生活習慣の形成には家庭環境,労働条件,経済,社会などの外的な要因の他に,個人個人による違いが大きい内的要因(宿主要因)も関与している.特に豊かな物質に恵まれ,多様な生活環境が存在する日本や欧米では,個人の価値観や好みを優先した生き方を選択することが可能である.われわれはこうしたライフスタイルの選択に性格が関与していると考えている.なぜなら,常に新しい情報を取り入れ流行のライフスタイルを持つとか,逆にライフスタイルの変更を拒むといった行動や態度には,性格が影響していると考えるからである.
一方性格は,以前から特定の成人病と関連しているという報告がある.Aタイプの性格行動型は,せっかちで競争心が強いことが特徴であるが,このタイプは血液中のカテコールアミンが上昇しやすいため,血圧や心拍に影響を与えると考えられ,虚血性心疾患のリスクファクターとされている1,2).また,がん患者には抑うつ的で感情を表面に出さない性格型が多いという報告があり,これをがんに関連した性格型としてCタイプと呼ぶことが提唱されている3,4).
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