連載 地域精神保健の展開—精神保健センターの活動から・9
痴呆性老人の地域ケアへの技術援助—東京都の老人精神医療相談班活動
菱山 珠夫
1
,
長尾 佳子
1
1東京都立中部総合精神保健センター
pp.645-649
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901113
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【はじめに】
東京都では,昭和63年度から痴呆性老人の保健医療対策の一環として,「痴呆性老人精神科専門医療事業」を都の単独事業として発足させた.この事業は,①処遇上特に問題の多い顕著な精神症状と行動障害を伴う痴呆性老人に対して,短期集中的な治療とケアとを提供する痴呆性老人精神科専門治療病棟(以下,専門病棟という)を精神病院内に計画的に整備していく,②専門病棟入院対象者への訪問診察および家族等への専門的医療相談や介護指導,移送協力などに専従する老人精神医療相談班(以下,老人相談班という)を精神保健センター等に配置する,③専門病棟の効率的かつ適正な運用を図るため,入退院の審査や病棟運営の調整などについて協議する専門病棟調整委員会を設置する,の3点からなっている(図1参照).
専門病棟(定床50)は現在4病棟200床が稼働中であり,近く1病棟が開設され,将来的には都内全域に10病棟・500床が配備される計画である.
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