公衆衛生医師—その現状と課題 座談会
保健医療情報の活用を考える(2)
尾島 俊之
1
,
田上 豊資
2
,
永井 正規
3
,
坂田 清美
3
1愛知県設楽保健所
2高知県保健環境部健康対策課
3自治医科大学公衆衛生学教室
pp.497-500
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901075
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●何の目的かが重要
坂田 前回の田上先生の話では,組織の認知ということが非常に大事なキーワードのような気がします.高知県でそれを進めるに当たって,その下準備の段階でコンセンサスを得ることとか,老人保健事業関連のいろいろなデータを県で管理するには大変な苦労があったということですね.その点で,大学でも人材を養成するために研修会なども開いていますけれども,必ずしも行政の場で求められているものと大学で提供しているものとがかみ合ってないということはないですか.
永井 私はそれほど難しい話ではないと思います.最初に言ったように,目的がまずあるはずです.高知県の場合にしても,老人保健福祉計画策定のためにこれが必要だということで,このシステムをつくったわけですね.この目的のために使うということがはっきりしていれば,大学から何か提供しないと動けないというほど難しくはない.市町村でも十分対応できる.研修が必要ないとは言いませんが,具体的な目的がある場合の研修は,一般論としての「情報処理研修」よりずっとやりやすいし,役に立つ.現場が求める研修と提供される研修がかみ合っていないとすれば,それは互いの目的の認識が違っているか,または目的の認識ができていないということです.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.