特集 母子保健と福祉
保健婦への母子保健福祉の教育研修
山下 文雄
1
,
吉村 皓子
2
,
高野 陽
3
,
小山 修
4
,
江井 俊秀
5
1久留米大学医学部看護学科
2福岡県筑紫保健所
3国立公衆衛生院母子保健学部
4母子愛育会情報研修部
5母子衛生研究会
pp.469-472
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901068
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◆はじめに
母子の保健と福祉は国家,国民の存続を望むかぎり社会が永遠にサービスを続けるべきシステムであるが1),最近の老人問題の深刻さ,切実さに圧倒されて軽視の傾向にある.この分野でも社会のニーズは大きく変化しつつある.少産,少死,働く母親の増加,結婚年齢の上昇,第1子の出産年齢の上昇,親の育児体験の減少,親同士のふれあい・子供同士のふれあいの減少,子供への過剰期待・干渉,育児産業・教育産業の影響,過剰情報時代の親たちの迷いや育児不安の増大,子供世界での心の問題増加とその低年齢化,親子関係とくに母親と子供との歪んだ関係(虐待症候群のひそかな増加,母性遮断症候群の出現),子どもの世界の大人化1)などがある.このような社会現象の先進国(?)である米国では多くの社会的問題が発生している.
そのような時代には「不安に満ちた子育て時代」の対処に必要な対人関係技術,特にカウンセリング的態度と技術研修へのニーズが極めて高い.しかしながら現任研修形態においても,あいかわらずの大集団の聴衆を対象に一方通行の講義形式のみで行われている所が多いのが現状である.
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