特集 産業保健への免疫学の応用
有害物質暴露者の免疫学的特性—エポキシ化合物,エポキシ樹脂
山田 裕一
1
Yuichi YAMADA
1
1金沢医科大学衛生学
pp.178-181
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900538
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■はじめに
エポキシ化合物とは,図1aに示すような,1個あるいは複数個のオキシレン環(エポキシ基)を持つ化合物の総称である.このエポキシ基は通常,不飽和炭化水素類の化学反応により生ずるが,非常に反応性が高く,酸や水,アミンやアルデヒド,アルコール類の作用を受けて容易に開環し,別の化合物へと転化する.このような性質を利用して,エポキシ化合物は多くの合成化学物質製造工程で中間物質として生成される.図1に主なエポキシ化合物を示した.
エチレンオキサイド(以下EtO)とプロピレンオキサイドは,医療用機材の消毒剤や穀物,果物のくん蒸剤としても使われているが,この2つを含めて,比較的低分子のモノあるいはジ・エポキシ化合物は合成化学工業で主に使用されている.しかし,エポキシ化合物の最も一般的なものは様様な形状の高分子のエポキシ樹脂であり,これは被覆材,接着剤,包埋材などとして非常に広い産業分野で用いられている.図2にエピクロルヒドリン(以下EpH)とビスフェノールから合成される代表的なエポキシ樹脂の構造を示した.高分子の樹脂はアミン類などの硬化剤を加えて生成される.
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