保健所機能の新たな展開—飛躍する保健所
保健所に求められるもの
末田 拓
1
Hiraku SUETA
1
1有川保健所
pp.562-563
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900401
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◆はじめに
保健所に入って約10年,保健所に入ったころは「保健所黄昏論」が華やかなりし頃であったが,最近の「地域保健将来構想検討会報告」,また,それを受けての「ニュー保健所構想」と,保健所の新しい展開が期待されつつあるような感じを受ける.しかし,保健所自体は変わろうとしているのであろうか.また,もし変わるとすれば,どのような方向に向かおうとしているのだろうか.
保健所における対人サービスについては,過去の結核を主とした伝染性疾患中心の疾病構造から成人病を中心とした疾病構造への変化,また,人口の高齢化に伴う保健需要の変化等が問題となっている.そして,その流れに十分対応出来なかったことが,「保健所黄昏論」の主とする命題であったようである.そのことは,保健所の全盛期として「結核対策華やかなりし頃」と言われていることからもうかがわれる.
しかし,保健所の存在目的は,結核をはじめとする感染症対策ではなく,住民の健康を守るどいうこと,健康の増進をはかることではなかったのか.その方法として,地区組織の育成,教育・相談活動の充実,さらに,市町村・医療機関等,関係団体との連携・調整等,問題に応じた活動があったのではなかろうか.
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