特集 骨粗鬆症の予防
骨折の疫学—大腿骨頸部骨折の頻度と予防の手がかり
細田 裕
1
,
藤原 佐枝子
1
Yutaka HOSODA
1
,
Saeko FUJIWARA
1
1(財)放射線影響研究所
pp.12-15
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900252
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◆はじめに
わが国の老年者数は10年間で約1.5倍に増加し,これにともなって70歳以上の四肢の骨折数も,10年間で約1.5倍に増加している.
老人の骨折が問題になるのは,数の増加だけでなく,骨折後の経過が,若い人に比べよくないため“quolity of life”が損なわれるからである.例えば,厚生省の患者調査によれば,四肢を骨折して6カ月以上入院する人は,65歳未満では5%に過ぎないが,70歳以上の人では約22%にも及んでいる.特に大腿骨頸部を骨折した場合は,退院しても,歩行に介添が必要となったり,痴呆や寝たきりの誘因になることも少なくない.
老人の骨折は,骨粗鬆症を基盤として起こり,骨粗鬆症およびそれに伴う骨折の予防は,高齢化社会の公衆衛生上重要な問題である.
ここでは,厚生省シルバーサイエンス研究事業骨粗鬆症研究班(班長:折茂肇)が行った全国の大腿骨頸部骨折の発生頻度,発生率の調査結果を紹介し,危険因子の解明につながる問題点をあげ,予防への手がかりを述べていきたい.
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