特集 総合相談窓口
—広域専門相談システム—埼玉県のエイズ相談システム
北井 暁子
1,2
,
市川 洋一
3
Akiko KITAI
1,2
,
Yoichi ICHIKAWA
3
1厚生省児童家庭局母子衛生課
2元埼玉県衛生部保健予防課
3埼玉医科大学
pp.619-621
発行日 1990年9月15日
Published Date 1990/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900172
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■はじめに
埼玉県は,人口630万人を超え,首都圏に隣接して,通勤,通学は埼玉都民といわれるように,東京都との交流が非常に盛んな県である.県民の意識もまた地方都市とは違った,いろいろな特徴を持った県であるといえる.このような埼玉県におけるエイズ対策と相談室の設置についてご紹介することとする.
昭和62年1月に,厚生省のエイズサーベイランス委員会で神戸市の例が報告され,県民のエイズに対する関心が急激に高まった.すでに県としては59年11月,県内エイズサーベイランス調査協力医療機関10カ所を設置し,サーベイランスシステムをスタートしており,61年3月に,保健所および県庁の保健予防課を窓口として,エイズに関する一般相談窓口を開設していたが,この報道を契機に,当初月9,000人を越える相談に,衛生部担当者,第一線の窓口である保健所にも緊張感が高まった.マスコミのエイズ報道には疑問を持つ声もあるが,県民の意識や目を現実問題にそれだけ向けさせた,ということにおいてはかなりプラスの影響力があったと考えている.このような状況の中で,62年2月,エイズ対策実施要領を作成し,それに基づいて,体制の整備充実に努力している(表1).
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