映画の時間
—人生のターニングポイントを迎えた中年男が、テキトーにしていた人間関係を見つめ直す可笑しくも切ない物語—逃げきれた夢
桜山 豊夫
pp.721
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210097
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主人公の末永(光石研)が介護施設で暮らしている父親を見舞う場面から映画が始まります。受付で面会簿に記名し、スリッパに履き替え、職員にあいさつをし、車椅子に座っている父親の隣に座って話し掛けます。何気ないシーンですが、自然な感じで進行します。父親は記憶が薄れていく症状があり、あまりコミュニケーションは取れません。
主人公は定時制高校に勤務しています。教頭を務めていますが、定年間近で校長に出世する見込みはないようです。家庭では、あまり大事にされていないようで、一人娘に話し掛けても、相手にされません。教師としては、生徒思いのいい先生のようではありますが、自分で思っているほどには、生徒には慕われていないようです。
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