映画の時間
—君とネコとの思い出が、永遠に僕を守ってくれる。—ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ
桜山 豊夫
pp.1054
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209962
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猫好きの方なら、一度はルイス・ウェインの描いた絵をご覧になっているかもしれません。1860年生まれのウェインは19世紀末から20世紀初頭のビクトリア女王治世下の英国で活躍した画家(イラストレーター)です。新聞記事などの挿絵を描いていましたが、後に独特な雰囲気を持った猫の絵が人気を博し、猫の画家として有名になりました。今月はウェインの生涯を描いた映画をご紹介します。
馬の品評会を取材した帰り、顔や服が泥で汚れたまま汽車に乗り込んだ主人公ルイス・ウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、車内で挿絵の仕上げを始めました。小犬を連れた乗客から愛犬クレオパトラの絵を描いてと頼まれると画料も取らずに、依頼に応えるルイスです。金銭感覚に疎いのかなと感じさせる鮮やかな導入部です。ルイスはちょっと変わり者のようで、写実を求めるあまり、疾走する馬の前に出て描こうとして泥だらけになったようです。しかし、画力は大したもので、The Illustrated London Newsのオーナーから専属契約の申し出がありますが、ルイスは当時の最先端技術である「電気」の特許やオペラの作曲で忙しいと、その申し出を断ります。
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