映画の時間
—思いもしなかった…私を理解できる人がいるなんて!—恋の病〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜
桜山 豊夫
pp.631
発行日 2021年9月15日
Published Date 2021/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209699
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新型コロナウイルス感染症の流行が続く中,消毒剤がよく売れているようです.飛沫感染,接触感染が主な感染経路ですので,マスクの着用や手洗いの励行が推奨され,またデスク,テーブル,ドアノブなど人の手が触れる場所を消毒剤で拭くこともよく行われています.強迫性障害(obsessive compulsive disorder:OCD)では,そのような行動もよくみられます.コロナ対策を揶揄しているわけでもないのでしょうが,今月ご紹介する「恋の病」の主人公ボーチンは強迫性障害,中でも潔癖症に分類される患者で,彼が家中を徹底的に掃除,消毒する場面から物語は始まります.もちろん自身も手洗い,シャワーを何度も行う毎日で,外出時には当然ゴーグル,マスク,手袋を着用し,服の上にはフード付きのビニールのレインコートを着て防護しています.
完全防護の服装で電車に乗っていると(もちろん誰が座ったか分からない座席には座りません),同じような防護服姿の女性ジンが乗っているのを目撃します.興味を持って彼女の後をつけますが,ストーカーのような行為をとがめられてしまいます.しかし,家に戻ってもジンのことが忘れられず,翌日また同じ場所に出掛けると,彼に興味を持ったのか彼女も現れました.運命的な出会いというのか,「一目惚れ」というのか,潔癖症同士のふたりの出会いです.ジンには長時間屋外にいると皮膚に発疹が出るアレルギーがあり,屋外でのデートもままならないため,ボーチンの家で同居(同棲?)することになります.ふたりの同居生活はどうなることやら…….
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