連載 リレー連載・列島ランナー・142
精神疾患を抱える患者さんと家族が自分らしく過ごすためのオンライン支援
加藤 美和子
1
1株式会社ベータトリップ
pp.49-52
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209545
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はじめに
「うつ病」という言葉の普及に伴い,気分障害をはじめとした精神疾患は,身近に起きる疾患として認識されるようになってきた.多くの人がまず思い浮かべるのは,患者さんのことだろう.実は家族など周囲で心配する人々にとっても大きなライフイベントとなり,支援が必要となるケースもある.
筆者自身は,長い間家族の立場で精神疾患に関わってきた.家族として何とかしてあげたいと必死になればなるほど衝突は増え,かえって事態を悪くしてしまう.負担感が増してくると,自分ばかりが我慢や苦労を強いられているように感じてしまい,苦しんでいる本人を目にしながらそんな捉え方をする自分に嫌悪する.限界を感じた時に初めて,適度な距離感を保ち,患者さん主体の生活ではなく自分自身の人生と向き合っていく必要があることを痛感した.この経験が,筆者が精神疾患を抱える患者さんと家族が自分らしく過ごすための支援に取り組むきっかけとなった.本稿ではその取り組みを紹介する.
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