連載 リレー連載・列島ランナー・132
ゆずカフェってなに?—改善につなげる事業評価の実践
本間 隆之
1
1山梨県立大学看護学部
pp.199-203
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209351
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エンパワメントする評価
健康教室などの事業評価を行った際,最終評価の数字が「参加者数10名」などになり,「参加者数は少なくても,今後につながる意義がある活動なのに……」と歯がゆく思うことや,これに似た経験をした方も多くいらっしゃると思います.往々にして,事業の表現方法を十分に検討できないまま評価をしてしまうことで起こります.評価を意味する「evaluation」という語はvalue(価値)を含むように,評価は「価値を定める行為」といわれています.活動の価値を十分表現できる指標で評価をしなければ,関係者だけでなく事業サービスを享受する住民の不利益につながることもあります.評価とは合格不合格を決めるものではなく,事業の価値を認識するとともに,改善に向かうために必要なアイデアを提供してくれる地図のようなものだと考えています.
私がいくつかのコミュニティーと取り組んでいる「エンパワメント評価」では,コミュニティー当事者が評価という地図の所有者であることを前提として,自ら地図を活用していくことができるよう地図の作成から次の一歩を踏み出すための解釈まで,評価という作業を通して継続的に関わっていきます.具体的には,各種理論やツール,調査などを活用して,コミュニティー内のコミュニケーションと気付きを増やすように支援することにより,当事者自身が主体的に事業の価値を理解し,改善とマネジメント,発展に向けて進んでいく力を持つことを目的とした関わりをしています.正式な定義は成書や「American Evaluation Association」を参考にしていただくとして,本稿ではその評価の事例を紹介します.
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