連載 リレー連載・列島ランナー・131
公衆衛生上の脅威としてのエイズの終結を,本気で目指す—新宿二丁目のコミュニティセンターaktaの立場から
岩橋 恒太
1
1特定非営利活動法人akta
pp.125-129
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209328
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はじめに
新宿二丁目にあるコミュニティセンターaktaから
私たちが活動の拠点とするコミュニティセンターakta(アクタ.特定非営利活動法人)1)は日本最大規模のゲイタウンである新宿二丁目にある(図1).現在,日本のHIVの主な感染経路であるMSM(men who have sex with men.男性とセックスをする男性)の対策の拠点として,2003年に創設されたものである.私たちはここを基点に,東京都および首都圏を活動の範囲として,MSMを対象にした性の健康の増進の取り組みを行っている.
MSMの性の健康の増進という点で,現在でも最も重要な性感染症はHIV(human immunodeficiency virus)/後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS.エイズ)である.国際連合エイズ合同計画(UNAIDS)2)や世界保健機関(WHO)3)は2030年までに「公衆衛生上の脅威としてのエイズの終結」を目指すとしている.また,そのビジョンは,HIV陽性者が長く,健康な人生を生きることができる世界の中で,①エイズ発症を「ゼロ」とする,②エイズに関連する死亡も「ゼロ」とする,そして③エイズに関連する差別を「ゼロ」とすることの実現である3).
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